イギリスのイートン校といえば、過去に19人の英国首相を排出している有名校であるため、ボーディングスクールという言葉を知らずともイートン校の名前を知っている人は多いのではないでしょうか。イートン校では1学年250名ほどの生徒がおり、13歳から18歳までの少年が合計で1300人前後寄宿して生活しますが、年齢を問わずその学費は年間34000ポンドに達します。レートに大きく左右されるものの、安くとも500万円前後のこの学費は他のボーディングスクールの学費に比べても非常に高いものですが、イートン校では1学年につき14名程度を定員とする学内奨学金制度が存在しています。といっても、この奨学金で賄われる学費は全体の約1割程度ではあるのですが、奨学生になれば王の学徒と称され、カレッジャーと呼ばれカレッジという特殊な建物に住むことが可能となるほか、他の生徒とは異なる黒の制服を着ることが許可されています。
もともと、ボーディングスクールに通う生徒の多くは財産家や政治家の子息が多いため、実際には奨学金がなくとも高い学費を大した負担もなく払うことが可能な家庭が多く、この奨学金においては奨学金そのものではなく、奨学金に付帯する前述のような特権の方により大きな価値があると言えます。なお、一般家庭からの進学などで実際に大きな奨学金が必要な場合には、入学試験の成績に応じて国が支援してくれるスカラシップ制度もが存在しており、近年ではこれらを利用して一般家庭からの入学者も増えています。